冬の訪れが近づくころ、一人のハーブ農家が静かに息を吐いた。彼の名は村瀬悠馬。祖父の代から続く小さな農園を守り、無農薬でハーブを育てていた。
悠馬の農園は、日本のとある山間にひっそりと佇む。寒暖差のある気候が、ハーブや果実に豊かな香りと深い味わいをもたらす。彼の誇りは、祖父から受け継いだ無農薬のイチゴ。手間暇かけて育てたその果実は、甘酸っぱく、どこか懐かしい味がする。
ある年の秋、悠馬はふとしたきっかけでドイツから来た女性、クララと出会った。彼女はハーブティーの調合師で、世界中のハーブを研究し、その土地ならではの味を引き出すことを生業にしていた。
クララは悠馬のイチゴに興味を持った。「こんなにも香り高く、優しい甘みのあるイチゴは初めて」と感嘆し、悠馬の農園を訪れるようになった。やがて二人は、互いの知識を分かち合いながら、新しいハーブティーのレシピを探求するようになる。
「イチゴの甘酸っぱさを活かしながら、もっと奥行きのある味わいにできないかしら?」
クララの問いかけに、悠馬は考えた。そして、彼が昔から愛してやまないハーブのひとつ、ハイビスカスを組み合わせることを提案した。ハイビスカスの鮮やかな酸味が、イチゴの甘さを際立たせるに違いない。
さらに、ローズヒップのやさしい酸味を加え、アップルのまろやかな甘みをプラスすることで、心に残る余韻を演出する。温かみを感じられるよう、シナモンをほんのり効かせることにした。
「仕上げに、何か特別な香りを添えたいわ。」
そう言うクララが選んだのは、レモングラスとエルダーベリー。レモングラスの清涼感が全体を引き締め、エルダーベリーが奥深い甘さを加えてくれる。
試行錯誤を重ね、ようやく完成したハーブティーを、悠馬とクララは冬の朝に味わった。窓の外には白い霜が降り、寒さが肌を刺す。しかし、カップに注がれた深紅のティーから立ちのぼる香りは、二人の心をじんわりと温めた。
「まるで恋に落ちたみたいな味ね。」
クララが微笑む。その言葉に、悠馬は静かに頷いた。
このハーブティーには、二人の情熱と、心の温もりが込められている。だからこそ、飲む人すべてに愛と安らぎを届けられるのだろう。
こうして誕生した「ラブリー ストロベリー」。
それは、冬の寒さを忘れさせる一杯。恋人と寄り添う時間、大切な人と過ごす穏やかなひととき。香りが過去の思い出を呼び起こし、心をほぐしてくれる。
この特別なハーブティーを、ぜひ手に取ってみてほしい。
カップを両手で包み込みながら、あなたの心の中の物語を紡いでみませんか?