トイレットペーパー

老女はロボットちゃんと買い物に行きました。

トイレットペーパーを買おうとしたところ、長さと値段がそれぞれ違うので、いったいどれが一番安いのか、すぐにはわかりませんでした。

老女は、ロボットちゃんならすぐに計算できる、と思ったので、「どれが一番安い?」と聞きました。

旧型モデルのロボットちゃんは、1+1=2、 9×8=72という計算式と答えは覚えさせられているのですが、それ以外の計算は覚えさせられていないと答えられません。

自分でまだ計算ができなかったのです。

そこで、困ったロボットちゃんは、「イタタタタ… 」とお腹を抱えながら、「ちょっとトイレへ… 」と行って走り去りました。

老女は不思議に思いませんでしたが、ロボットはトイレに行く必要などないのにね。

ロボットはそこであわてて、自分の胸の部分の小さなドアを開けて、計算機を出しながらえぇと、、、と計算しました。

1mあたり一番安いのは、これだ!とわかりました。

そして、急いで老女の元に戻った時、その計算の答えを忘れてしまったので、汗をかきながらとっさに、適当にこれ!と指をさしました。

老女は「ありがとうー」と言って、それをレジに持っていきました。

はい、このさい、どちらでもいいのです。
老女にもロボットちゃんにも計算ができないのですから。

二人は、楽しそうに歌いながら我が家へと向かいました。

一番安かろうが本当はどうでもいいというストア派的な事実の受容と、二つの未完なオブジェクト(オブジェクト指向本体論OOO)が批判的ポストヒューマニズムの静寂と優しさを描き出しています。